激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 私が隣にいてもこんなに注目されるのだから、彼がひとりでパーティーに参加していたら大変なことになっていただろう。

 私に契約結婚の話を持ちかけた理由がわかる。

 羨望のまなざしを集める彼は、左手の薬指に結婚指輪をはめている。
 亮一さんと私が夫婦だと言う証の指輪だ。

 会場の女性たちがさりげなく亮一さんの指輪を確認しているのに気づいて、照れくさいようなうれしいような不思議な気持ちになる。

 亮一さんはスマートに私をエスコートしながら要人たちに挨拶をし、妻の私を紹介してくれる。

 みんな彼が結婚したことにおどろきながらも祝福してくれた。
『今度ホームパーティーに来てくれ』と誘われ『ぜひ』と微笑み返す。

 そんなやりとりをしていると、会場の空気が変わった。
 また新たなゲストが来たらしい。

 入り口のほうに注目が集まっていた。

 つられてそちらを見る。

 鮮やかな緑のイブニングドレスをまとった白髪の老婦人が、数人の男性を引き連れ会場に入ってくるところだった。

 その姿を見て「あ……」と目を見開く。

 チャリティイベントの会場で会ったミシェルさんだ。

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