激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 会場内を見渡した彼女は私を見つけ、こちらへと歩いてくる。

 大使館主催のパーティーに現れるなんて。
 そしてこんなに注目を集めるなんて。
 彼女はいったい何者なんだろう。

『やっぱり会えたわね』

 驚く私を見て、彼女はにっこりと笑う。

『あなたのパートナーをどこかで見た覚えがあったの。たしか日本大使館に有能でハンサムな外交官がいたような気がして、普段こういうパーティーには参加しないのだけど、好奇心に勝てなかったわ』

 ミシェルさんから視線を向けられた亮一さんは、上品に微笑み挨拶をする。

『参加していただけて光栄です。在アメリカ合衆国日本国大使館、一等書記官の瀬名亮一と申します。こちらは妻の日菜子です』

 彼に紹介され、私も頭を下げる。

『瀬名日菜子と申します』
『日菜子はなにもわかっていないようだけど、あなたは予測どおりにことが運んだって顔をしているわね、亮一』
『いえ、とんでもない。偶然の出会いに驚いています』
『本当かしら』

 そのやりとりに目を瞬かせていると、ミシェルさんがこちらを見る。

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