激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「アメリカの国家公務員ですよね」
「瀬名さんが前に、想い続けている人がいるけど口説けずにいるって言ってたんだけど、彼女のことだったのかな。アメリカの国家公務員と日本の外交官が結婚するのは難しいだろうから」

 浜辺さんの言葉を聞いて、心臓が大きく音をたてた。
 息をのんだ私に気づき、浜辺さんがまた慌てだす。

「すみません。今のは失言でした」
「いえ、彼がずっと想い続けている人がいるのは、知っていましたから。あんな素敵な女性なら、惹かれてしまうのも当然です」

 知ってはいたけれど、実際にその女性を目にするのは想像以上につらかった。

 経歴も能力も外見も、なにひとつ叶うものがない。
 自分の無力さにうちのめされる。

 亮一さんはずっと怜奈さんを想っていたんだ。
 けれど外交官という立場上、彼女との結婚は難しい。だから私に契約結婚を提案したんだろう。

 彼を好きになっても無駄だって最初からわかっていたのに、どうしてこんなに胸が痛むんだろう。

「日菜子さん、なんでそんな悲しい顔をするんですか? 瀬名さんとの結婚生活がうまくいってないとか?」
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