激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 私は思わず耳を塞いだ。彼が『そうだ』と答えるのを聞きたくなかった。

 強い胸の痛みでようやく自覚する。

 私は亮一さんのことが好きだ。
 どうしていいのかわからないくらい、好きで好きで仕方ない。

 私がぐっと唇をかみしめていると、浜辺さんが躊躇なく控室のドアを開いた。

「お邪魔しまーす。言い合う声が廊下まで聞こえてましたよー」

 明るく言って部屋の中に入っていく。

 怜奈さんは、亮一さんが腰かけたひとりがけのソファの背もたれに腕を置き、彼にせまっている最中だった。

「あら、見られちゃったわね」

 怜奈さんは動揺する様子もなく、見せつけるように亮一さんに密着した。
 露出の高いドレスを着た彼女が、豊かな胸を亮一さんに押しつける。
 そんな状況に息をのむ。

「怜奈、どけろ」

 亮一さんは低い声で命令する。
 ぞくりとするほど冷たい声。

「あら怖い。さっきまでは乗り気だったのに、奥様が来たから気が変わった?」

 亮一さんは楽し気に笑う怜奈さんを押しのけ立ち上がる。

「お前がなにを勘違いしているのかは知らないが、俺は妻の日菜子を愛している」

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