激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 頭ではもう限界だと思っているのに、体は何度でも彼を欲している。
 亮一さんを受け入れた私の体の内側が、もっととねだるように彼をしめつけ痙攣しているのがわかった。

「日菜子……」

 かすれた声で私の名前を呼ぶ。

 亮一さんは優しい紳士の顔を脱ぎ捨て、獣のように何度も私を抱いた。
 





 暗闇の中でふと目を覚ます。


 いつのまにか私は意識を手放していたようだ。

 寝返りをうとうとすると、体の奥が甘く疼いた。
 亮一さんに抱かれた記憶がよみがえる。
 長い時間抱かれ続けたせいで、体のあちこちが痛かった。

 彼にとっては薬の効果を抑えるための仕方のない行為だったのかもしれないけど、あんなに激しく求められてうれしかった。

『日菜子』と私の名前を呼びながらこちらを見下ろす彼の姿を思い出すと、いとおしくて胸がしめつけられる。

 きっとまだ真夜中なんだろう。
 しんと静まり空気が冷たい。

 視線を隣に向けると、亮一さんの背中が見えた。
 彼はベッドに腰かけ、ひとり闇を見つめていた。

 眠れないんだろうか。
 それとも具合が悪いのかもしれない。

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