激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 亮一さんに抱かれた翌朝、彼は私に『悪かった』と頭を下げた。


『乱暴なことをしてすまない』と謝り『体は大丈夫か』と気遣ってくれた。

 真剣に謝罪する彼を見て、胸が引き裂かれる思いだった。

 きっかけはなんであれ、私は大好きな亮一さんに抱いてもらえてうれしかった。
 何度も何度も私の名前を呼んで激しく求めてもらえて幸せだった。

 だけど、彼にとってあの出来事は悔やむべきものでしかないんだ。
 彼が謝罪を口にするたびにそう思い知らされた。

『もうこんなことは二度としないと誓う。それでも君が許せないというなら……』

 彼はこの契約結婚をおしまいにしようとしているんだ。
 そう悟った私は、慌てて彼の言葉を遮る。

『亮一さん、大袈裟ですよ。気にしないでください』
『日菜子……』
『事故みたいなものじゃないですか。亮一さんに非はありません。私も昨日のことは忘れますから、今まで通り契約結婚を続けましょう』

 必死に笑顔を作った。

 たとえ亮一さんがほかの女性を想っていたとしても、彼のそばにいたかった。

 あの夜のことを忘れたふりをすれば、亮一さんと一緒にいられる。
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