激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 ワシントンに来たばかりのころは亮一さんに『心配だから』と言われ、移動はタクシーを使っていたけれど、最近ではバスにも乗るようになった。

 路線バスを使うと観光客ではなくこの街の住人になれたようで、少しうれしくなる。

 スーパーマーケットにつき、大きなカートを押しながら店内を見て回る。
 クリスマスが近いせいで売り場はとても華やかだった。

 おかしの家を作れるキットに、赤と白のスティック型のキャンディ。
 クリスマスの靴下。かわいいクリスマスグッズが所せましと並んでいる。

 その中で、木製のクリスマスツリーを見つけて足を止めた。
 組み立て式のツリーに小さなオーナメントをひとつひとつ飾れるようになっている。

「かわいい……」

 部屋に飾ったらクリスマスムードが出て素敵かもしれない。

 素朴で落ち着いた雰囲気だから、シックな色で統一したリビングにおいてあっても浮かないだろう。

 亮一さんにほしいものは遠慮なく買っていいと言われているけれど、普段はあまり無駄遣いをしないようにしていた。
 だけどせっかくのクリスマスだし、いいよね。

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