激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 視界に映ったのはこちらを見下ろす端正な顔。

「大丈夫か?」

 真剣な表情で私に向かってたずねるのは、間違いなく亮一さんだった。
 彼はバランスを崩し川に落ちそうになった私を引き寄せ抱きしめてくれていた。

「亮一さん……」

 つぶやくと同時に緊張の糸が切れた。
 胸に安堵が押し寄せ涙がこみあげてくる。

「川に飛び込もうとするなんて、一体なにがあったんだ」

 厳しい声で問われ、言葉にできずにただ首を横に振る。

 自分が川に身投げしかけたことに気づき、今更怖くなった。
 体がガタガタと震えだす。

 やけになって魔が差したとはいえ、なんてことをしようとしたんだろう……。

「ごめんなさい、亮一さん……」

 私は震える声で謝る。
 亮一さんは大きくため息を吐き出し、そして私を抱きしめる腕に力を込めた。
  





 
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