激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 検査薬の精度は99%以上らしい。私が妊娠しているのはほぼ間違いなかった。

 これからどうすればいいんだろう。亮一さんに話すべきなんだろうか。

 悩み続けたせいで、昨夜はほとんど眠れなかった。

「それにしても日菜子ちゃん、少しやせた?」

 早苗さんから指摘され、ぎくりと肩がこわばった。

「俺もそう思った。なんだか顔色も悪いし」

 するどいふたりに冷や汗をかく。
 ここのところあまり食事をとれていなかったせいで、少し体重が落ちていた。

「そうかなぁ。アメリカの食事で太るかもって心配してたんだけど、逆に痩せたならよかった」と笑ってごまかす。

「なに言ってるの。日菜子ちゃんはもっと太ってもいいくらいよ」
「ホームシックだろ。やっぱり俺がいないと寂しいんだな」
「そうだ、お茶入れるね。おいしい茶葉をもらったの」

 話を変えキッチンへ向かおうとすると、マガジンラックに躓き中身が床に散らばってしまった。

 早苗さんが「私が直しておくわよ」と雑誌を拾ってくれる。
 そして紛れ込んでいた一枚の紙を手に取り動きを止めた。

「あれ、これって……」

< 204 / 231 >

この作品をシェア

pagetop