激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
どうしたんだろうと彼女の手もとを見て青ざめる。
それは妊娠検査薬の使用法を書いた説明書だった。
昨夜、動揺して雑誌の間に挟み、そのままにしていたんだ。
「あ、それは、なんでもない!」
頭が真っ白になった私は、慌ててその紙に手を伸ばし体のうしろに隠す。
そんな私を見た兄が、不思議そうに首をかしげた。
「どうしてそんな必死に隠すんだ?」
たしかにこんなに必死になるなんて不自然だ。
もっと冷静にごまかせばよかった。
「日菜子、もしかして妊娠してるのか? そうか、日菜子がママになるのか!」
「おめでとう日菜子ちゃん!」
笑顔のふたりに祝福され、驚いて目を見開く。
本来なら妊娠はよろこばしいことなんだ……。
そう思うと同時に罪悪感がこみあげてきた。
私はこの子の母親なのに、動揺して落ち込むばかりでよろこんであげられなかった。
こんなんじゃ母親失格だ。
おなかに宿ってくれた赤ちゃんに申し訳なくなる。
自分が情けなくて涙があふれる。
そんな私を見てふたりが表情を変えた。
「日菜子、どうして泣くんだ」
「妊娠がうれしくないの?」
それは妊娠検査薬の使用法を書いた説明書だった。
昨夜、動揺して雑誌の間に挟み、そのままにしていたんだ。
「あ、それは、なんでもない!」
頭が真っ白になった私は、慌ててその紙に手を伸ばし体のうしろに隠す。
そんな私を見た兄が、不思議そうに首をかしげた。
「どうしてそんな必死に隠すんだ?」
たしかにこんなに必死になるなんて不自然だ。
もっと冷静にごまかせばよかった。
「日菜子、もしかして妊娠してるのか? そうか、日菜子がママになるのか!」
「おめでとう日菜子ちゃん!」
笑顔のふたりに祝福され、驚いて目を見開く。
本来なら妊娠はよろこばしいことなんだ……。
そう思うと同時に罪悪感がこみあげてきた。
私はこの子の母親なのに、動揺して落ち込むばかりでよろこんであげられなかった。
こんなんじゃ母親失格だ。
おなかに宿ってくれた赤ちゃんに申し訳なくなる。
自分が情けなくて涙があふれる。
そんな私を見てふたりが表情を変えた。
「日菜子、どうして泣くんだ」
「妊娠がうれしくないの?」