激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 亮一さんの言葉を聞いて、兄は「当たり前だろ」と胸を張る。

「かわいい妹に悪い虫がつかないように守るのは兄として当然だ」

 たしかに兄は昔から、亮一さんに『妹に手を出すなよ』としつこいくらい釘を刺していた。

「それに、俺は外交官だから年単位で海外で暮らさないといけない。もし恋人になれたとしても、日菜子に海外移住か遠距離恋愛かの選択を迫ることになる。海外で暮らせば慣れない生活で苦労をさせるかもしれないし、遠距離恋愛を選べば日菜子のそばにいてやることができない」
「だから、好意を隠して私を見守っていてくれたんですか……?」

 誕生日には毎年素敵なプレゼントをくれた。

 私が大学に合格したときも、卒業したときも祝ってくれたし、日本に帰国するたびに食事に誘ってくれた。

 高校、大学、社会人と成長していく私をずっとそばで見守り、優しい言葉をかけ続けてくれた。

 彼みたいな素敵な人が私を女として見るわけがないって。妹のように接してくれているだけだろうって思い込んでいたけれど、違ったんだ。

 亮一さんは七年もの長い間、ずっと私を好きでいてくれたんだ。

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