激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「でも、怜奈さんにはすごく乱暴な口調だったから、あっちが素なのかなと思って……」
「俺が優しくしたいと思うのは君だけだ。他の女には興味がないから、態度が変わるのは当然だろ。……まぁ、恥ずかしがって涙目になる日菜子はかわいいから、ベッドの上では意地悪したくなるけどな」

 端正な顔に一瞬だけ獣のような色気が浮かぶ。
 それを見て心拍数が跳ねあがった。

「じゃあ、二年後アメリカ赴任が終わったら離婚するって話はなんだったんだよ」

 兄が思い切り不機嫌そうに問いかけた。

「こちらの要求を通すためなら多少の嘘も必要だろ」
「本当に腹黒いな!」

 兄は鼻にしわを寄せ、涼しげに微笑む亮一さんを睨んだ。早苗さんは笑いながら兄の腕を引く。

「まぁまぁ。亮一さんがちゃんと日菜子ちゃんを想ってくれてるのはわかったんだし、私たちはお暇してふたりにしてあげましょう」
「は? 三カ月ぶりに日菜子に会えたのに?」
「ようやくふたりが素直になって想いが通じ合ったのよ。シスコンの兄なんて邪魔でしかないじゃない」
「俺が邪魔だと……? そんなことないよな、日菜子!」

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