激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 兄にすがるような表情をされ、気まずくて目をそらす。

 アメリカまで遊びに来てくれたふたりをもてなしたいけど、亮一さんときちんと話し合いたい気持ちのほうが大きい。

「日菜子、なんで目をそらすんだ」
「彰が邪魔だからでしょ」
「そんなぁ……っ」

 早苗さんは駄々をこねる兄を引きずって出ていく。

 ふたりはアパートメントのゲストルームに泊まるから、明日一緒にランチを食べようと約束をして出て行った。

 ふたりきりになり室内が一気に静かになる。

 話をするためにソファに並んで座ると、亮一さんはゆっくりと息を吐いて私を見つめた。

「日菜子。不安にさせて悪かった」
「いえ、勝手に誤解した私が悪いんです」

 彼に愛されたいと思うなら、自分から好意を伝えるべきだったんだ。
 だけど自分に自信がなく臆病になっていた。

「亮一さんは本当に私を好きでいてくれたんですか?」

 なんだか信じられなくて確認するように問いかけると、ソファの上に置いた私の手に、彼の大きな手が重なった。

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