激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「ずっと好きだった。たまたま日本で再会して恋人に裏切られたと聞いたとき、こんなことなら我慢せず口説いていればよかったと後悔した。あの夜、泣き疲れて眠った君の寝顔を見ながら、無理やり抱いて自分のものにしてしまおうかって何度も思ったよ」

 亮一さんはいつも優しくて紳士的で、そんなそぶり一切なかったのに。

「でも、私を想っていてくれたなら、どうしてあのパーティーの夜『こんなふうに抱くつもりはなかった』なんて言ったんですか?」
「聞いていたのか」
「亮一さんは、私を抱いたことを後悔していたんですよね?」

 恐る恐るたずねる。
 彼は形のいい眉をひそめ視線を落とした。

「……後悔するに決まっているだろ。薬で理性が飛びかけていたとはいえ、いやがる日菜子を押さえつけて無理やり何度も抱くなんて、どうかしていた」
「え、無理やり?」
「日菜子はあのとき何度もいやだって言っていただろ? 泣きながら『もうやめて』って懇願されたのにどうしても止められなかった。しかも、気絶するまで抱きつぶすなんて。ベッドの上でぐったりした日菜子を見たとき、薬なんかで理性を失った自分を悔やんだ。本当にすまなかった」
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