激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「私、いやじゃなかったです……!」

 慌てて首を左右に振ると、亮一さんが目を見張る。

「亮一さんに抱いてもらえてうれしかったです」

 私の言葉をうたがうように、「本当に?」とこちらを見つめる。

「ほ、本当です。ベッドの中で泣いちゃったのはあんなに感じたのははじめてでどうしていいのかわからなかったからだし、何度も抱かれて体力的についていけなかったけど、すごく気持ちよくて幸せでした」

 真っ赤になりながら説明すると、彼が安堵したように「よかった……」と長い息を吐き出した。

「あの夜以来、日菜子に避けられていると思っていた。だからこれ以上怖がらせないように俺も距離をおいていたんだ」
「そうだったんですね。私は亮一さんが怜奈さんを好きだから、私を抱いたことを後悔しているんだと思って悲しくて……」
「俺が好きなのは日菜子だ」

 答え合わせをするように、お互いの気持ちを確認して見つめ合う。

「わ、私も、亮一さんが好きです」

 そう言うと、彼が私を引き寄せきつく抱きしめた。

 私も彼の肩に腕を回し抱き着くと、左手の指輪が視界に入る。

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