激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「結婚指輪のサファイアは、私の誕生石だから選んでくれたんですか?」
「それもある。でも、誠実に君を想っているという告白の意味もあった」

 サファイアの石言葉は『誠実』そして『慈愛』。
 すべてを包み込み慈しむような、まっすぐで深い愛。

 この指輪にはそんな気持ちが込められていたんだ……。

「日菜子、キスしたい。……いいか?」

 耳もとでささやかれうなずく。
 緊張しながら目を閉じると、柔らかくキスをされた。

 伝わる体温に、心も温かくなっていく。
 角度を変えて短いキスをくりかえされ、背筋がぞくぞくと震える。

「ん……っ」

 ぴくんと肩が跳ねたのに気づいた彼が、キスの合間に「かわいい」と笑った。

 甘やかすように優しく頭をなでられ唇が緩むと、彼の舌が口内に入り込む。

「あ……。りょ、……いちさん……っ」

 キスだけなのにこんなにも気持ちいい。

 彼の舌に翻弄されているうちに、胸のあたりの締めつけがなくなった。

 驚いて目を開くと、彼の手が私の服の中に忍び込んでいた。

「あ……、待って……っんん!」

 長い指が私の胸のふくらみを包む。

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