激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 普段はあんなにクールなのに今からこの調子じゃ、赤ちゃんが生まれたらデレデレのパパになりそうだ。

「気が早いですよ。とりあえず、赤ちゃんを無事に産んであげるのが第一ですから」

 私がそう言うと、亮一さんは「そうだな」とうなずいてから表情を引き締める。

「日菜子」

 真剣な声で名前を呼ばれた。

「はい」
「俺たちの契約結婚は、今日で終わりにしていいか?」

 その言葉に、私は目を瞬かせる。

「一生大切にすると誓うから、偽りじゃなく本当の妻になってほしい。日菜子、結婚しよう」

 彼からの二度目のプロポーズに、感極まって言葉に詰まる。

「亮一さん……」

 涙が込み上げてきて、両手で顔を覆った。

 震える息を吐きながらこらえようとしたけれど、涙はとめどなくあふれて頬を伝う。

 こうやって亮一さんと本当の夫婦になれるなんて、夢を見ているみたいだ。幸せで胸が苦しい。

 うつむいた私を亮一さんが抱きしめてくれる。

「日菜子、返事は?」

 その問いかけに、私は涙で声を震わせながら答えた。


「もちろん、よろこんでお受けします」






 

 

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