激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい～契約結婚なのに溺愛で満たされました～
　話を聞いてくれたり、おかしを買ってきてくれたり、友人の妹としてかわいがってくれた。


　彼は政治家や官僚を多く輩出する最難関の国立大学を志望していた。
　将来は日本を代表して各国と交渉し、国益や邦人を守る外交官を目指しているんだと教えてくれた。世界で活躍する外交官。
　それは知的で社交的な彼にぴったりのお仕事だと思った。

　そんな彼に憧れて、私も外交官になりたいと夢を抱くようになった。

　亮一さんに自分の夢を打ち明けると、彼は『将来は外交官として一緒に働けたらいいね』と応援してくれた。

　難関校に受かるための勉強のコツを教えてくれて、私の成績はどんどん上がっていった。

　けれど、結局その夢が叶うことはなかった。
　私が高校三年になった冬、両親が海外旅行中に交通事故に巻き込まれ亡くなったからだ。

　海外で亡くなったせいで、両親の遺体を日本に搬送するにも複雑な手続きが必要だった。

　兄と私は突然両親を失った悲しみと絶望の中で、なにから手をつけていいのかわからず途方にくれていた。

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