激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
8契約結婚の幸せな結末


■契約結婚の幸せな結末



 一年で一番寒い季節が過ぎ、日差しが柔らかくなった三月の末。

 ポトマック川沿いに並ぶ桜の蕾がほころび、ワシントンは春を迎えた。




 今日は亮一さんと一緒に、毎年大使公邸で開かれる桜の開花を祝うパーティーに参加していた。

 会場では日本酒や和食、色鮮やかで繊細な和菓子が振舞われ、参加者たちが感激の声をあげる。

 ガーデンパーティーなので、参加者は正装ではなくインフォーマル。
 大使館職員や関係者など身内が多く、ホームパーティーのようななごやかな雰囲気だ。

 亮一さんは濃紺のスリーピースのスーツを身に着けている。
 引き締まった体にフィットしたベストがかっこいい。

 私が着ているのは、上半身はタイトで胸の下から自然に裾が広がるワンピース。
 このデザインならおなかを締めつけないし、シルエットも綺麗に見える。
 そして体が冷えないように、肩にストールをかけていた。

「日菜子、寒くないか? 疲れたなら中で休むか?」

 今日は天気が良く温かい。
 気温は二十度もあるのに、心配性の亮一さんは私を気遣い頻繁に声をかけてくれる。

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