激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「大丈夫ですよ。ストールもありますし」
「無理はするなよ」
「わかってます」

 私は妊娠六カ月になり、おなかの赤ちゃんは順調に育っていた。

 安定期に入るとそれまで目立たなかったおなかが膨らみ始め、胎動も感じるようになった。

 出産予定日が近づくとともに自分の体が変化していくことがうれしくて、同時に生命の神秘を感じる。

「日菜子さん、体調はどう?」

 私たちに気づいて声をかけてくれたのは、大使夫人だ。

「ありがとうございます。今日は日差しが温かいので気持ちがいいです」

 大使夫人をはじめ、大使館職員の奥様たちは私の妊娠をよろこんでくれた。

 病院の情報を教えてくれたり、妊娠中に必要なサプリメントをプレゼントしてくれたり、とてもよくしてくれている。

「そうそう。出産はどちらですることにしたの?」
「悩んだんですが、アメリカで産もうと思っています」

 妊娠して一番悩んだのが、日本とアメリカどちらで出産するかという問題だった。

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