激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 はじめての出産を慣れない海外ですることに不安はあるけれど、日本に帰るときや出産後にまだ小さな赤ちゃんをつれて十時間以上飛行機に乗ることも同じくらい不安だった。

 そしてなにより亮一さんと何カ月も離れて暮らさなければならないし、出産に立ち会ってもらうのも難しくなる。

 とはいえ産後に体調を崩したらと思うと、亮一さんのご両親や兄がいる日本のほうが安心だし……。

 どちらを選んでもメリットもあればデメリットもある。

 なかなか決められずにいると、亮一さんのお母様が『私がアメリカに行ってサポートするわよ!』と申し出てくれたのだ。

 エステを経営している彼女は、『アメリカのエステ事情も知りたいし、赤ちゃんのお世話もできるし、一石二鳥だわ』とノリノリだった。


 結婚の挨拶をしたときから孫を熱望していたご両親は、妊娠の報告を受けて大よろこびだった。

 まだ性別もわかっていないころからベビーグッズを山のように送ってくれて、亮一さんの仕事部屋は赤ちゃんの荷物で埋め尽くされることになった。

 そのせいもあって、私たちは以前住んでいたアパートメントから一軒家に引っ越した。
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