激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 大使館からも近い、お庭もプールもついている素敵なおうちだ。

 ここならまわりを気にせずのんびりと子育てができるし、亮一さんのご両親や私の兄と早苗さんが遊びに来たときはゆっくりくつろいでもらえるバストイレ付きのゲストルームもある。

「そう。日本からお母様が来てくれるなら安心ね」

 話を聞いた大使夫人が微笑む。

「私もいつでも助けに行くから、なにか困ったことがあれば遠慮せず連絡ちょうだいね。孫が五人もいるから、赤ちゃんのお世話には慣れているのよ」
「すごく頼もしいです。ありがとうございます」

 はじめての出産に不安もあったけれど、ひとりじゃないんだと実感する。
 みんながこの子の誕生を楽しみにしてくれているんだと思うと、心が温かくなった。

 大使夫人を見送っていると、亮一さんが私の腰を抱いた。
 おなかを見下ろし優しい笑みを浮かべる。

「赤ちゃんは動いてる?」
「いえ、全然。眠っているのかも」

 亮一さんは「そうか」とうなずきながら私のおなかをなでる。

 最近は胎動も大きくなり、おなかに手を当てると赤ちゃんの動きが伝わるようになった。

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