激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 亮一さんは先週はじめて胎動を感じ、手のひらに伝わるぽこぽこという小さな振動にとても感動したらしい。
 それ以来いつもいとおしそうに私のおなかをなでてくれる。

 ちょっと照れくさくて、でもとてもうれしい。

「相変わらず、ラブラブですねー」

 そんな声が聞こえ振り返ると、あきれ顔の浜辺さんがいた。

「あのクールな瀬名さんがそんなデレデレな顔をするなんてめちゃくちゃレアだって、大使館の女性職員たちが歓喜してますよ」

 そう言われ浜辺さんの視線の先を振り返る。

 たしかに数人の女性職員がこちらの様子を観察しているようだ。

 亮一さんに見とれていたんだろう。
 亮一さんは魅力的だから仕方ないけれど、普段からこんなにモテているんだと実感して、ちょっとやきもちをやいてしまう。

 そんな気持ちを見透かすように浜辺さんが笑った。

「日菜子さん、安心してください。彼女たちにとって瀬名さんはあくまで観賞用で、お近づきになりたいなんて思ってませんよ」
「観賞用……」
「だって瀬名さんは言い寄ってくる女性に塩対応どころか、一瞬で凍死しそうなくらい冷たい態度をとりますから。ねー、瀬名さん」

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