激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「仕事中は一分の隙もなく完璧な瀬名さんが、日菜子さんのことになるとむきになったり取り乱すの、すごくいいなぁって思いました。うらやましいです」

 彼の言葉に照れながら微笑む。

「ありがとうございます。浜辺さんにも大切な人ができるといいですね」
「そうですね。見つからなかったら、瀬名さんの娘ちゃんが大きくなってくれるのを気長に待ちます」

 最後のひと言を聞いて、亮一さんの目がまたするどくなる。

 それを見た私と浜辺さんは声をあげて笑った。

「そういえば日菜子さん。瀬名さんがアメリカの超有名企業からスカウトされたって知ってます?」
「え? 亮一さんが?」

 それは初耳だ。
 私が目を丸くすると、浜辺さんは自分のことを語るように胸を張る。

「年明けの通商交渉で、日本はかなり優位な立場になって条件を提示できたんですけど、瀬名さんはお互いに不利益にならないように落としどころを作ったんですよ。もったいないと思いません?」
「それはたしかに」

 最大限日本の利益になるよう交渉したほうがいい気がするのに。
 私がうなずくと、亮一さんは小さく笑う。

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