激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「興味がないわけじゃないが、不安定な世界情勢の中で、日本がこれからも平和で豊かな国であるように力を尽くすこの仕事はやりがいがある。それに、生まれてくる我が子のためにも幸せな国を守らないといけないしな」

 さらりと言ったその言葉に重みと覚悟を感じた。
 亮一さんはなんてかっこいいんだろう。

「日菜子は俺が民間企業に勤めたほうが安心できるか?」

 その質問に微笑んで首を横に振る。

「いえ。外交官として活躍する亮一さんがかっこよくて大好きです」
「よかった」

 視線を合わせ笑い合う。

 そのときおなかがぽこんと動いた。

「あ、赤ちゃんが動いた」
「本当に?」

 亮一さんがうれしそうに私のおなかに手を当てる。

「赤ちゃんも、パパが大好きだって言ってるのかも」

 そんな話をしていると、柔らかな春の風が吹いた。

 髪がふわりと揺れる。
 目を細め空を見上げると、透き通った青空に桜の花びらが舞い上がっていた。

 その綺麗さに目を奪われていると、指先にぬくもりを感じた。
 亮一さんが私の手を握ってくれていた。

 この幸せがいつまでも続きますようにと心の中でそっと祈る。

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