激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 亮一さんは優しくて人がいいから、断れないんだろう。

 いつも兄が迷惑をかけてすみません。
 なんて申し訳なく思っていると、亮一さんがぷっと噴き出した。

「日菜子ちゃん、寝ぼけてる?」
「え?」
「俺が高校生に見える?」

 そう言われ、ぱちぱちと瞬きをしてあらためて彼を見る。

 出会った頃から変わらず端正で理知的な顔をしているけれど、高校時代より大人びていて色気と落ち着きが増していた。

 とても高校生には見えない大人の魅力があった。

「あれ……」

 混乱しながらシーツから出る。
 ベッドの上に座りあたりを見回すと、私は見覚えのない部屋にいた。

 高い天井に大きなベッド。
 レースのカーテンがかかった窓の向こうには、朝の街が広がっている。
 生活感が一切ない上品なこの部屋はたぶんホテルだ。しかもリビングとベッドルームが別れている、高級なお部屋。

 なんでこんなところにいるんだろう……。
 と不思議に思いながら自分の体を見下ろし、驚きで肩が跳ねた。

 私はレースがあしらわれた薄いスリップ姿だった。

 なんでこんな格好に……! 

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