激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 こんなにかっこよくてしかもエリート外交官の亮一さんなら、結婚したいと思う女性も、娘と結婚させたいと思う親も山ほどいるだろう。
 たくさんの縁談が持ち込まれるのも納得できる。

「それは大変そうですね」
「上司やお世話になった人たちから持ち込まれる縁談を、理由もなく断り続けるのは心苦しいし気を使う。そのうえ、両親まで見合いをしろと言い始めた」
「もしかして今回帰国したのは……?」
「あぁ。見合いをするためだ。なんとかして断るつもりではいたが」

 そうだったんだと納得する。

「こうも頻繁に縁談を持ち込まれては、仕事に集中できない。かといって、適当な相手と見合いをしたところで好きになれる気もしない」
「私と結婚すれば、その悩みが解決するんですね」

 突然私との結婚を切り出した理由を知って腑に落ちる。

 亮一さんは優しいから、持ち込まれた縁談を断るたびに申し訳なく感じているんだろう。
 私も人の誘いやお願いを断るのが苦手だから、その気持ちがすごくわかる。

 それに、幼いころから知っていて家族みたいに思っている私なら、まったく知らない女性と暮らすより気が楽だと考えたのかもしれない。
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