激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「でも、私がアメリカで暮らすなんて……」
「彰が心配する?」
亮一さんの問いかけにうなずく。
あの過保護な兄が、結婚して海外へ行くことをすんなり認めてくれるとは思えない。
「日菜子ちゃんは彰を心配させたくないんだろうけど、あいつもいい加減妹離れしたほうがいい。このままじゃ、早苗さんに捨てられるぞ」
「……それはそうですよね」
早苗さんは優しい人だけど、このまま妹の私を理由に結婚を先延ばしにされ続けたら、愛想をつかすに違いない。
兄のためには無理やりにでも距離を置いたほうがいいのかもしれない。
「俺と結婚すれば日菜子ちゃんは過保護な兄から自立できる。俺は縁談を持ち込まれなくなり仕事に集中できる。お互いの利害は一致しているだろ」
「ようするに、契約結婚ってことですか?」
理解した私がたずねると、亮一さんが微笑んだ。
「そういうことだ。結婚の期間は俺がアメリカに赴任している間の二年間。帰国して日菜子ちゃんが望むなら、この契約は解消して離婚していい」
「でも……」