激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい～契約結婚なのに溺愛で満たされました～

　家族が半分になった今では使われていない部屋も多く、がらんとしていて少し寂しい。

「待ってくれ。お前たちが付き合ってるなんて、はじめて聞いたぞ」

　兄にするどい視線を向けられ、私は緊張しながら口を開く。

「一年前から付き合ってる人がいるって話してたじゃない。結婚も考えてるって」
「それが亮一？」
「そうなの。黙っててごめんなさい」

　私の家に来る前にふたりで話し合い、一年前から付き合っていたのは亮一さんだったということで話を合わせた。

　兄は信じてくれるだろうか……。と不安になっていると、隣に座る亮一さんが私を安心させるように微笑む。

「日菜子ちゃんから俺と付き合ってると聞いたら彰は驚くだろうから、ふたりそろって直接説明したかったんだ」
「でも、亮一はずっとアメリカに行っていただろ。いつのまに」

　疑うような眼を向けられ、背筋がこわばる。
　そうだよね。そこを疑問に思うのは当然だ。

「日本にいたころからずっと日菜子ちゃんが好きだった。アメリカに行ってからもメールや電話で連絡を取り合って、必死に口説き続けたんだ」

　彼の説明を聞いて頬が熱くなる。