元上司が身の丈25センチに!可愛くってたまりません!
うまくいっていた縁談話が破談。そうなったのは、その御曹司のせいなのか、花嫁になるはずだった人のせいなのか。みちるには知る由もない。
現社長がどんなに素敵な人でも、その息子がダメ人間である可能性だって普通にある。御曹司だがバカ息子。巷にごろごろしている話だ。
みちるが「好みじゃない」「合いそうにない」「生理的に無理」などなど、断る理由を言ったところで、この縁談がなくなる割合は何パーセントくらいあるんだろう。
レイコさんは厳しいけれど、わからずやではない。泣いて頼めば断ってもらえるかもしれない。
逆に、相手がレイコさんの言うように父親ゆずりの好青年だったらどうだろう。話も弾み、何となくいい人だな、と思えたら。
自分がウェディングドレスを着て微笑んでいる気持を想像しようとしたが、ちっとも嬉しさがこみあげてこない。
どうしたものかしらね…。
揺れる電車の窓からきれいな夕日が見えた。
見合いの日はすぐにやってきた。みちるは、レイコさんに言われた通り、昨日美容院に行った。毛先をカットしてもらい、ショートボブの髪型がいくらかさっぱりした。
実家では、見合い用の服を用意したレイコさんが待ち構えていた。ピンクのセットアップで、ショート丈のジャケットと、レースをあしらったワンピース。それに合う靴までちゃんとそろえてあった。
一通り着てみると、レイコさんが艶然と微笑んだ。
「いいでしょう。ときどきそんな格好すれば、殿方も寄ってきてよ。まあ、今日のお見合いが成功すれば、そんな心配もいらないでしょうけど」
なんと答えていいかわからず、みちるは薄く笑った。
確かに鏡の中の自分は自分史上いちばん、というくらいお嬢様っぽく見える。かと言って甘すぎず、品がいいセレクトだ。
レイコさんを改めて見ると光沢のあるシルバーの美しいスーツを着ていた。体の線がくずれていないレイコさんによく似合うタイトなスーツだ。びっくりするほど派手な部屋着を着ることもあるレイコさんだけど、こんな特別な日のTPOは決して外さない。レイコさんらしいな、とみちるは思った。
「やあ、よく似合ってるじゃないか。見違えたよ」
父洋二郎がリビングにやって来て言った。洋二郎は、レイコさんに合わせたのか、グレーのスーツ姿だった。ハイブランドとわかるネクタイをしている。
「お父さん、少し、痩せた?」
みちるは言った。前回会ったときはお腹がまあるくなっていたのだ。
「おお。メタボだったからなあ。レイコのすすめで、ジムに通うようになったんだよ。おかげで男前があがっただろう?」
「ふふ。そうね」
みちる同様、洋二郎もレイコさんに頭が上がらないらしい。お抱え運転手に送ってもらい、三人でホテル北都へ向かった。
到着して、レストランへ行くと、予想どおり個室が用意されていた。美しいベージュピンクのテーブルクロス。飾られた花は豪華で、これから始まる見合いの特別感を匂わせていた。
しばらく席について待つと、オレンジ色のスーツを着た背が低く、可愛らしい感じの年配女生と、紺のスーツを着た白髪の男性が現れた。席につくなり、かるく頭を下げた。
「木内さん。今日は、ありがとうございます」
「それを言うのなら、こちらの方です。槙田社長、御都合をつけていただき、感謝しております」
洋二郎がそう言った次の瞬間、席についたのが件の御曹司のようだった。御曹司は、みちるの真向かいに座った。
背が高いな…と、みちるは、あまり不躾ではない程度に、見合い相手を見た。
そして、かっ、と目を見開くことになった。
頭からつま先まで、何度も見直す。
御曹司は、さらりとした黒髪の持ち主で、短めの髪型がよく似合っていた。目元は涼しく、切れ長だ。鼻筋が通っていて、唇が薄い。スーツの着こなしも見事で、品のいい青年そのもの、といった感じだった。
だが。問題はそこではなかった。
槙田社長は、洋二郎にさっそく、御曹司を紹介した。
「はじめまして。槙田恭一です」
恭一は、洋二郎とレイコに挨拶し、みちるに向き直った。
「お目にかかれて光栄です」
にっこりと、恭一は微笑んでくれた。みちるも笑顔を返したいところなのだが、驚きのあまり、頬の筋肉が動かせない。
異変に気づいたのか、レイコさんが小声で言った。
「どうしたの、みちるさん」
レイコさんに事情を説明しようとしたが、場の雰囲気からするとそんなまだるっこしいことはできそうにない。
みちるは意を決して恭一と目を合わせた。
「あの…不躾かもしれませんが…槙田主任…です、よね」
今度は、恭一の方が目を丸くした。
「お忘れかもしれませんが…ハルカ書店の飯田商店街店で、文庫と文房具を担当していた木内みちるです。その節はお世話になりました」
自分でもびっくりするくらいすらすら言えた。
「きうち…え…木内さん?木内さんが花園製菓さんのお嬢さん?」
こんなにうろたええる恭一を初めて見た、とみちるは思った。かつての恭一は、クールな上司として、女子社員に認められていた。口数の少ない切れ者主任。それがハルカ書店での恭一の影の呼び名だった。
「驚いたな、これは」
今度はくすくすと笑いだした。つられて、やっと頬の筋肉がほぐれたみちるも笑った。
「ほんとですね。こんなことってあるんですね」
レイコさんも洋二郎も恭一の両親も、笑う二人をぽかんと見つめていた。
「ああ、びっくりした。まさか、見合いの席に木内さんがいるなんてね」
みちると恭一は、ホテルの庭園のベンチに座っていた。
初めての顔合わせだったはずなのに、主役二人が知り合いだったことから親サイドの段取りはすっかり狂ってしまったらしい。コース料理が終わるやいなや、もう二人で話してきたら、と言われて今に至る。
ハルカ書店の飯田橋商店街店で、みちるが正社員になったばかりの五月。店長が腰痛で倒れてしまい、そのピンチヒッターでやってきたのが本店の主任、槙田恭一だった。切れ者が来るよ、と噂されていたが、それは本当だった。
たった二か月の間で、売り上げの落ちていた文芸書と雑誌部門を立て直した。みちるは、文庫と文房具を担当していた。バイトの頃からやっていたので、他の社員とも仲良くしていたし、長である店長ものんびりしたタイプだったのでダメ出しされたことがなかった。
ところが。恭一に売り場をチェックされると、ダメ出しをいくつもされた。課題も勉強することも一気に増えた。恭一のいた二か月の間、「木内さん!」と呼ばれるとダメ出しだと思って間違いなかった。おかげで大変緊張感のある二か月となった。
なつかしい二年前を思い出し、みちるの顔も綻んだ。
「私も、びっくりしました。まさか主任のご実家がホテル北都だなんて」
「その台詞、そっくり君に返すよ。俺は、二十代のうちは何をやってもいい、と言われていたからね。二十代のうちに、四回転職したんだ。IT企業、陶芸家、書店に建設会社」
「ものすごく幅がひろいですね…」
呆れを通り越して、感心してしまう。切れ者だとは思っていたが元来器用なのだろう。
「うん。やりたいだけやって、やっと腰を落ち着ける気になった、というところかな。ホテルの仕事もなかなか面白そうだよ」
「そうでしたか。それは…よかったです」
清々しい笑顔で恭一が言うので、みちるもつられて笑った。
「木内さんは…残念だったね、飯田橋商店街店が閉店なんて。頑張ってたのに」
声のトーンを落として、恭一が言った。みちるは、え、と恭一を見つめなおした。
「ええと…私は、主任には、ダメ新入社員と思われていると思っていました」
うん?と、恭一が不思議そうな顔をする。
「いやいや。店長とも話しあってね、木内さんは、叩けば伸びるタイプだろう、っていうことになって。実際、ダメ出しすると、すぐにやり方を変えたり、対応してたじゃないか。ダメ社員なんて思ったこと、なかったよ」
「そうなんですか…!」
当時は、ダメ出しの連打に、自分はなんてダメな新入社員だろう、と落ち込んだものだったのに。実際は、自分が思っていたよりも少しばかりいい位置にいたらしい。
再就職難で疲れていた心が、少し明るくなった。
「嬉しいです。なかなか次の仕事が決まらなくて、へこんでいたから」
「ああ、それで気分転換に見合いでも、って?」
みちるは返答に困った。そうです、と言った方がいいのか。仕方なく、と本当のことを言ったら失礼に当たるのではないか。
「あの、その…」
「木内さん、言ってたもんな。寿退社する社員見て、『私は、結婚よりもずっと書店で働きたいですが』って。そんなに書店の仕事が好きなんだ、と感心したから覚えてるよ」
「そんなこと、言ってましたか…」
確かに、そういうことを言った気もする。何よりも、恭一が、みちるのそんなちょっとした呟きを覚えていたことにびっくりした。一緒に働いたのは、たった二か月。さらに恭一はそれから仕事も変えている。みちるより桁違いの数の人と出会っているはずだ。
頭のいい人は記憶力もいいっていう例かしら…。
「だから、まあ、俺も君も気持は同じなんじゃないかな。親にせっつかれて、仕方なく見合いの席に来た、そうだろう。今時、写真も見せてもらえない見合いなんて、おかしいよな。戦争中じゃあるまいし」
みちるは、頷いた。
「そうですよね。すごく急なお話でしたし」
「うん。俺からもお互いまだ結婚する気にはなれないって親に言っておこう。悪かったね、木内さん。うちの親が強引に話しを進めたんだと思うんだ。何しろ、花園製菓のお嬢様だからね。ついつい、乗り気になってしまったんだろうな」
現社長がどんなに素敵な人でも、その息子がダメ人間である可能性だって普通にある。御曹司だがバカ息子。巷にごろごろしている話だ。
みちるが「好みじゃない」「合いそうにない」「生理的に無理」などなど、断る理由を言ったところで、この縁談がなくなる割合は何パーセントくらいあるんだろう。
レイコさんは厳しいけれど、わからずやではない。泣いて頼めば断ってもらえるかもしれない。
逆に、相手がレイコさんの言うように父親ゆずりの好青年だったらどうだろう。話も弾み、何となくいい人だな、と思えたら。
自分がウェディングドレスを着て微笑んでいる気持を想像しようとしたが、ちっとも嬉しさがこみあげてこない。
どうしたものかしらね…。
揺れる電車の窓からきれいな夕日が見えた。
見合いの日はすぐにやってきた。みちるは、レイコさんに言われた通り、昨日美容院に行った。毛先をカットしてもらい、ショートボブの髪型がいくらかさっぱりした。
実家では、見合い用の服を用意したレイコさんが待ち構えていた。ピンクのセットアップで、ショート丈のジャケットと、レースをあしらったワンピース。それに合う靴までちゃんとそろえてあった。
一通り着てみると、レイコさんが艶然と微笑んだ。
「いいでしょう。ときどきそんな格好すれば、殿方も寄ってきてよ。まあ、今日のお見合いが成功すれば、そんな心配もいらないでしょうけど」
なんと答えていいかわからず、みちるは薄く笑った。
確かに鏡の中の自分は自分史上いちばん、というくらいお嬢様っぽく見える。かと言って甘すぎず、品がいいセレクトだ。
レイコさんを改めて見ると光沢のあるシルバーの美しいスーツを着ていた。体の線がくずれていないレイコさんによく似合うタイトなスーツだ。びっくりするほど派手な部屋着を着ることもあるレイコさんだけど、こんな特別な日のTPOは決して外さない。レイコさんらしいな、とみちるは思った。
「やあ、よく似合ってるじゃないか。見違えたよ」
父洋二郎がリビングにやって来て言った。洋二郎は、レイコさんに合わせたのか、グレーのスーツ姿だった。ハイブランドとわかるネクタイをしている。
「お父さん、少し、痩せた?」
みちるは言った。前回会ったときはお腹がまあるくなっていたのだ。
「おお。メタボだったからなあ。レイコのすすめで、ジムに通うようになったんだよ。おかげで男前があがっただろう?」
「ふふ。そうね」
みちる同様、洋二郎もレイコさんに頭が上がらないらしい。お抱え運転手に送ってもらい、三人でホテル北都へ向かった。
到着して、レストランへ行くと、予想どおり個室が用意されていた。美しいベージュピンクのテーブルクロス。飾られた花は豪華で、これから始まる見合いの特別感を匂わせていた。
しばらく席について待つと、オレンジ色のスーツを着た背が低く、可愛らしい感じの年配女生と、紺のスーツを着た白髪の男性が現れた。席につくなり、かるく頭を下げた。
「木内さん。今日は、ありがとうございます」
「それを言うのなら、こちらの方です。槙田社長、御都合をつけていただき、感謝しております」
洋二郎がそう言った次の瞬間、席についたのが件の御曹司のようだった。御曹司は、みちるの真向かいに座った。
背が高いな…と、みちるは、あまり不躾ではない程度に、見合い相手を見た。
そして、かっ、と目を見開くことになった。
頭からつま先まで、何度も見直す。
御曹司は、さらりとした黒髪の持ち主で、短めの髪型がよく似合っていた。目元は涼しく、切れ長だ。鼻筋が通っていて、唇が薄い。スーツの着こなしも見事で、品のいい青年そのもの、といった感じだった。
だが。問題はそこではなかった。
槙田社長は、洋二郎にさっそく、御曹司を紹介した。
「はじめまして。槙田恭一です」
恭一は、洋二郎とレイコに挨拶し、みちるに向き直った。
「お目にかかれて光栄です」
にっこりと、恭一は微笑んでくれた。みちるも笑顔を返したいところなのだが、驚きのあまり、頬の筋肉が動かせない。
異変に気づいたのか、レイコさんが小声で言った。
「どうしたの、みちるさん」
レイコさんに事情を説明しようとしたが、場の雰囲気からするとそんなまだるっこしいことはできそうにない。
みちるは意を決して恭一と目を合わせた。
「あの…不躾かもしれませんが…槙田主任…です、よね」
今度は、恭一の方が目を丸くした。
「お忘れかもしれませんが…ハルカ書店の飯田商店街店で、文庫と文房具を担当していた木内みちるです。その節はお世話になりました」
自分でもびっくりするくらいすらすら言えた。
「きうち…え…木内さん?木内さんが花園製菓さんのお嬢さん?」
こんなにうろたええる恭一を初めて見た、とみちるは思った。かつての恭一は、クールな上司として、女子社員に認められていた。口数の少ない切れ者主任。それがハルカ書店での恭一の影の呼び名だった。
「驚いたな、これは」
今度はくすくすと笑いだした。つられて、やっと頬の筋肉がほぐれたみちるも笑った。
「ほんとですね。こんなことってあるんですね」
レイコさんも洋二郎も恭一の両親も、笑う二人をぽかんと見つめていた。
「ああ、びっくりした。まさか、見合いの席に木内さんがいるなんてね」
みちると恭一は、ホテルの庭園のベンチに座っていた。
初めての顔合わせだったはずなのに、主役二人が知り合いだったことから親サイドの段取りはすっかり狂ってしまったらしい。コース料理が終わるやいなや、もう二人で話してきたら、と言われて今に至る。
ハルカ書店の飯田橋商店街店で、みちるが正社員になったばかりの五月。店長が腰痛で倒れてしまい、そのピンチヒッターでやってきたのが本店の主任、槙田恭一だった。切れ者が来るよ、と噂されていたが、それは本当だった。
たった二か月の間で、売り上げの落ちていた文芸書と雑誌部門を立て直した。みちるは、文庫と文房具を担当していた。バイトの頃からやっていたので、他の社員とも仲良くしていたし、長である店長ものんびりしたタイプだったのでダメ出しされたことがなかった。
ところが。恭一に売り場をチェックされると、ダメ出しをいくつもされた。課題も勉強することも一気に増えた。恭一のいた二か月の間、「木内さん!」と呼ばれるとダメ出しだと思って間違いなかった。おかげで大変緊張感のある二か月となった。
なつかしい二年前を思い出し、みちるの顔も綻んだ。
「私も、びっくりしました。まさか主任のご実家がホテル北都だなんて」
「その台詞、そっくり君に返すよ。俺は、二十代のうちは何をやってもいい、と言われていたからね。二十代のうちに、四回転職したんだ。IT企業、陶芸家、書店に建設会社」
「ものすごく幅がひろいですね…」
呆れを通り越して、感心してしまう。切れ者だとは思っていたが元来器用なのだろう。
「うん。やりたいだけやって、やっと腰を落ち着ける気になった、というところかな。ホテルの仕事もなかなか面白そうだよ」
「そうでしたか。それは…よかったです」
清々しい笑顔で恭一が言うので、みちるもつられて笑った。
「木内さんは…残念だったね、飯田橋商店街店が閉店なんて。頑張ってたのに」
声のトーンを落として、恭一が言った。みちるは、え、と恭一を見つめなおした。
「ええと…私は、主任には、ダメ新入社員と思われていると思っていました」
うん?と、恭一が不思議そうな顔をする。
「いやいや。店長とも話しあってね、木内さんは、叩けば伸びるタイプだろう、っていうことになって。実際、ダメ出しすると、すぐにやり方を変えたり、対応してたじゃないか。ダメ社員なんて思ったこと、なかったよ」
「そうなんですか…!」
当時は、ダメ出しの連打に、自分はなんてダメな新入社員だろう、と落ち込んだものだったのに。実際は、自分が思っていたよりも少しばかりいい位置にいたらしい。
再就職難で疲れていた心が、少し明るくなった。
「嬉しいです。なかなか次の仕事が決まらなくて、へこんでいたから」
「ああ、それで気分転換に見合いでも、って?」
みちるは返答に困った。そうです、と言った方がいいのか。仕方なく、と本当のことを言ったら失礼に当たるのではないか。
「あの、その…」
「木内さん、言ってたもんな。寿退社する社員見て、『私は、結婚よりもずっと書店で働きたいですが』って。そんなに書店の仕事が好きなんだ、と感心したから覚えてるよ」
「そんなこと、言ってましたか…」
確かに、そういうことを言った気もする。何よりも、恭一が、みちるのそんなちょっとした呟きを覚えていたことにびっくりした。一緒に働いたのは、たった二か月。さらに恭一はそれから仕事も変えている。みちるより桁違いの数の人と出会っているはずだ。
頭のいい人は記憶力もいいっていう例かしら…。
「だから、まあ、俺も君も気持は同じなんじゃないかな。親にせっつかれて、仕方なく見合いの席に来た、そうだろう。今時、写真も見せてもらえない見合いなんて、おかしいよな。戦争中じゃあるまいし」
みちるは、頷いた。
「そうですよね。すごく急なお話でしたし」
「うん。俺からもお互いまだ結婚する気にはなれないって親に言っておこう。悪かったね、木内さん。うちの親が強引に話しを進めたんだと思うんだ。何しろ、花園製菓のお嬢様だからね。ついつい、乗り気になってしまったんだろうな」