夜のオトシモノ
ヒロワレモノ
曙光高等学校 1-C 影谷小夜さん。
聞き返すことも出来ないほどにハッキリ聞こえたその声
ゆっくりと近付いてくる足音と共に
私もゆっくりと後退りをする
危険 そう分かっているのに
何故だか足は鉛のように重く動かない
「 逃げないでよ。 」
足元からだんだんと月明かりがさして
真っ黒なシルエットに色が着き始める
「 前回は助けてくれてありがとう。
お陰様で命拾いしたよ。 」
『 あなた... 』
「 アイツにバレた時は死ぬかと思ったけど 」
痛々しい傷が所々に残っている。
確かに今私の目の前にたってる男は
あの時、私の足を掴んで命乞いをしていた男だ。