夜のオトシモノ
そんな私はこの街での勝手なルールがある
お店には入らない。
連絡先の交換はしない。
1時になる前には繁華街から出る。
身体半分この街に浸かってるからこそ分かる。
1時を過ぎたこの街は危ない。
ここに入り浸って3ヶ月を過ぎたあたり
1度だけ1時をすぎたことがある
入り組んだ路地裏を探検しながらも
繁華街の入口へと足を向かわせながら歩いていた時
上から人が降ってきた。
白かったはずの白いワイシャツは所々真っ赤に染めて
小さく息をするように私に手を伸ばしてきたかと思うと
「 た...けて...れッ... 」
助けてくれ。
落ちてきた人は確かに私にそう言った。