夜のオトシモノ





人が初めて自分の上から降ってきて
血だらけの手が私の足首をグッと掴んで
硬直した身体はカタカタと震える


人間恐怖を目の当たりにした時
動かなくなるって言うのは本当なんだと
冷や汗をかきながらも理解することが出来る



カツン カツン カツン ...。



鉄を踏むような足音が
自分の真隣から聞こえてきて

私の足首を掴む力がさらに強まったのを感じ
顔を歪ませることしか出来ないのが
男女の力の差なのかと実感する。



「 んだよ...女に助け求めてんじゃねぇよ... 」



ガゴッ と 大きな音が鳴ったと思えば
先程まで掴まれてた足首の圧力が無くなって
少し熱を帯びていた場所にスースーとした風が当たる




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