極甘恋愛短編集
まさか休みの時までこの電車に揺られることになるとは思ってもいなかった。


電車を降りて足早に空き地へと向かう。


広い空き地が見えてきた時、草木の茂った間からあの小さな白猫が姿を見せた。


元気そうな子猫が駆け寄ってきてホッと胸をなでおろす。


子猫はもともと警戒心が薄いのか、人馴れしているのかすぐに喉をゴロゴロと鳴らし始めた。


「お腹すいたでしょう? ミルク持ってきたよ」


子猫の小さな背中をなでながら言うと、子猫は嬉しそうにミャアと鳴き声を上げた。


まるで人の言葉が理解できるみたいな反応に思わず笑ってしまう。


持参した小皿を取り出してそれにミルクを入れてやると、子猫はすぐにペロペロと飲み始めた。


やっぱりお腹が空いていたみたいだ。


もってきたミルクはたっぷりあるけれど、ミルクだけでお腹を満たすことができるんだろうか?


子猫といっても、もう固形物を必要としているかもしれない。
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