極甘恋愛短編集
「これでスタートボタンを押せばいいの」


「なんだ、思ってたよりも簡単だね!」


「そうでしょう? 他の家電だって同じだよ。誰でも使えるようにできているんだから」


レンジの使い方がわかったら、次は洗濯機だ。


母親が留守の間に制服の洗濯ができなかったら、きっとクラスで嫌われてしまうから。


「ここに洗剤を入れて、こっちに柔軟剤ね」


「そういうのが難しいんだよなぁ」


徹は頭を捻っている。


洗剤と柔軟剤の区別が難しいらしい。


それなら両方入っている洗剤を買えばいいと説明すると、洗剤を購入したことがないからわからないと言われてしまった。


母子家庭でこれではさっちゃんさんがどれだけ大変な思いをしているか。


と、ため息が出そうになる。


でも、それならと私の闘志に火がついた。


さっちゃんさんが帰ってくるまでに徹に色々なことを教えて、ひとりでできるようにすればいいんだ!


「よし、これから洗剤を買いに行くよ!」


私は張り切ってそういったのだった。
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