極甘恋愛短編集
カレーを食べているときもずっと「うまい!」「美味しい!」「先輩天才!」を、繰り返していて、ついその気になってしまった。


「徹、次はお風呂掃除なんだけど……」


いいながらリビングへ向かうと2人掛けのソファに身を丸くして寝転んでいる徹がいた。


そっと近づいてみると目をとじて寝息を立てている。


お腹がいっぱいになって、今までしてきてこなかったことをして、疲れてしまったのかもしれない。


一旦起こそうかと思って手を伸ばしかけたけれど、その無防備な寝顔を見ていると手を引っ込めてしまった。


今日はもう十分頑張ったかな。


残りは明日教えればいい。


そう思った瞬間、明日もここへ来るつもりになっていることに気がついた。


「べ、別に徹のためとかじゃなくて、ただ気になるし。さっちゃんさんに頼まれたんだし」


誰にも聞かれていないのに慌てて言い訳を口にする。


そして徹の寝顔を見てふっと表情が緩んだ。


今日合ったばかりの私の目の前でこんなにぐっすり眠れるなんて、本当に無邪気なんだなぁ。
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