極甘恋愛短編集
慌てて弁解しようとしたけれど、徹の目がまだ閉じられたままなことにきがついた。


徹は無意識のうちに私の腕を掴んで引き止めたみたいで、規則正しい寝息は続いている。


思わずその寝顔に見入ってしまう。


長いまつげ。


薄い唇は少し開いている。


整った鼻筋に、少し丸い顔。


クリッとした大きな目は閉じていてもよくわかる。


見つめているとなぜか心臓がドキドキしはじめてしまい、慌てて視線を反らせる。


だけどこのままじゃ帰ることはできない。


壁掛け時計に視線をやるとまだ午後6時だ。


もう少しここにいても大丈夫そうなことを確認して、私はソファの下に座ったのだった。
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