極甘恋愛短編集
「ねぇ、今日はオムライス?」


スーパーに到着すると同時に徹が聞いてきた。


「うん。一応その予定」


頷いて答えると徹は嬉しそうに目を輝かせる。


「やった! 僕のリクエストを覚えててくれたんだね」


「まぁ、一応はね」


徹からのリクエストをそう簡単に忘れられるわけがないのだけれど、それは微塵にも顔に出さなかった。


買い物カゴを手に持つと、徹が当たり前のようにそれを持ってくれた。


その自然な仕草にまた私の心臓はドキンッと跳ねる。


弟みたいで可愛い反面、ちゃんとこういうこともできるんだと心臓がドキドキしてくる。


徹の一挙手一投足に自分自身が反応してしまって、こんなに忙しくなったのは初めての経験かもしれない。


「あ、これ食べてみたいなぁ」


お菓子のコーナーに近づくと一目散に駆け出す徹。
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