極甘恋愛短編集
そう考えるとサッと血の気が引いていく気がした。


もしも彼女がいるのなら、どうして私を家にあげたりしたの?


どうして無防備に私の前で眠って、帰りに手をつないだりしたの?


様々な疑問が浮かんでは消えていく。


でも聞けない。


私は徹の彼女でもなんでもないんだから、こんな質問をしたら嫌われてしまうかもしれない。


だから、聞けない。


下唇を噛み締めた時、徹が私の顔を覗き込んできた。


「さっきから顔色が悪いけれど、どうしたの?」


「ううん、大丈夫。これでオムライスの材料は揃ったから、レジへ行こうか」


私は無理やり笑みを作ってそう答えたのだった。

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