極甘恋愛短編集
母親はそういうと白いエプロンをは外して出かける準備を始めた。


「どこに行くの?」


「さっちゃんの家よ。引き受けたからにはちゃんと様子を見に行かないと」


「お母さんが行くの?」


思わずソファから立ち上がってしまう。


徹の顔がまた脳裏をチラついてきた。


「そうよ。さすがになにか食べているとは思うけど、昨日も行っていないんだしね」


「徹には電子レンジの使い方も教えておいたから、きっと大丈夫だよ」


早口になって説明すると、母親が怪訝そうな顔をこちらへむけた。


「明日香、もしかしてお母さんにさっちゃんの家に行ってほしくないの?」


そう聞かれて返事に詰まってしまった。


図星だ。


今徹の家に行って誰かがいたら?
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