極甘恋愛短編集

生徒の少ない廊下で、私は佑美にそう聞いた。


「そうみたい。どれだけひどい振られ方をしたのかみんなに話してる」


佑美は深刻そうにつぶやく。


確かに田中さんはひどい振られ方をしていた。


でも、それじゃ氷王子が一方的に悪者になってしまうだろう。


そう思うと困惑した。


言い方も態度も悪かったけれど、氷王子は別に田中さんに危害を加えたわけじゃない。


「たぶん、噂はすぐに収まると思うけど」


「そうだといいよね」


私はそうとしか返事ができなかったのだった。