囚われのシンデレラ【完結】
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瞼に微かに光を感じる。
目を覚ました時には、腕の温もりはなくなっていた。その代わりに、温かい毛布が私の身体を包んでいる。
ハッとして身体を起こすと、自分の部屋のベッドにいた。カーテンの隙間からは、少しだけ明かりが漏れている。
恐る恐る自分の身体に視線を移すと、胸元に僅かに行為の跡があった。夢じゃなかった。
上半身に残る、手のひらと唇の感触。身体の真ん中に感じる、熱のあと。シーツに顔を埋める。
あんなの――。
何かを忘れるための行為とは程遠い。私の傷を舐めとるみたいに、ずっと優しかった。それは私の勝手な勘違いかもしれない。それでも、伝わってしまうこともある。
感情は残っていなくても、その心の中に捨てきれない優しが残ってる。西園寺さんの中にあって消えない優しさが、今は私にナイフのように突き刺さる。
心じゃなく身体を求めた私の、裂かれるような胸の痛みは、自業自得だ。