囚われのシンデレラ【完結】
「――西園寺さん、本当にごめんなさい」
次の日の朝、キッチンでミキサーに野菜や果物を入れ込んでスイッチを入れると、あずさが現れた。
「ああ、おはよう」
酷くいたたまれなさそうな姿で立っていた。
「物凄く迷惑をかけました。本当に、ごめんなさい」
「別に、気にしてないよ」
「今後、二度とこのようなことは――っ」
そう言って頭を下げながら、こめかみに手を当てている。
「頭痛か? 二日酔いなら、もう少し休んでいろ。ただ、少しは胃に何かを入れた方がいい。ちょうど今、ジュースを作ってるんだ。これなら、大きな失敗はないだろうから大丈夫だと思うんだけど」
「え……っ? すみません――」
「そんな大変なことみたいな顔をしなくていい。材料を切って入れてスイッチを入れるだけだ」
ちょうど出来上がったみたいだ。ミキサーからグラスにジュースを注ぐ。
「飲める分だけ飲めばいいから」
「ありがとうございます」
結局申し訳なさそうな顔をして受け取った。
少し腫れた瞼と、少ししかめた顔。あんなに酔うほど飲んだのだから辛いだろう。
「今日は、見送りはいい。じゃあ、俺は出掛けるから」
「本当にすみませんっ」
また頭を下げるあずさに、「行って来る」と告げた。