1000年後の約束をしよう
(ずっとこのまま夜で、朝が永遠に来なきゃいいのに……)

自転車を走らせながら、旬は何度も夜になるたびに思ったことを心の中で呟く。もしも永遠に夜が続いたなら、時間が止まってしまったなら、これから来る別れはないのだ。

家から十五分ほど自転車を走らせると、海が見えてくる。夏には県外からも海水浴のために観光客が訪れる浜辺には、当然ながら誰もいないーーーと言いたいところだが二人の女性と一人の男性が凪いだ漆黒の海を見つめていた。その姿を見た刹那、ドクンと旬の心臓が高鳴る。

「ごめん!待ったか?」

自転車を乗り捨てて旬は三人に声をかける。三人は同時に振り返り、その中の一人の女性が「遅いよ〜!」と声を上げた。

三人とも、旬と同じ紺色に緑のチェックの制服を着ている。彼らは旬の親友で、同じ部活のメンバーだ。

「夜中の海っていいな……。昼間は車が通るし、浜辺を散歩する人だっているけど、今は俺たちだけのものって感じがする」
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