ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
そういえば詳しく考えたことなかったかも…。
ぜんぶ直感任せというか…。
言われてみれば自己分析は大切かもしれない。
「うーん、…それがよく分かんなくて、」
「じゃあクラスの男子で例えてみるか。あいつはどう?」
さっそく楓花が指さしたのは、いつも賑やかな男子の中心にいる北條(ほうじょう)くん。
彼はルックスもあって兄貴肌でモテ要素は揃っているというのに、面白さのほうが重宝視されているという変わったキャラクターで。
とりあえず簡単に言うと、みんなから愛されるひとり。
「……ちょっとちがう」
「そ?じゃあ、そのなかの誰か」
北條くんを囲むように西沢くんに上田くん、高津くん。
おとなり飛ばして山本くん。
「……おらん」
「…タイプがないのか、それともあるのか、どっちよ」
「それが分かってたら苦労しないよっ」
しっくりこない、ピンとこない。
次から次に楓花の指先が変わる相手を見ても、反応はぜんぶ似たり寄ったりで。
好きになった人がタイプ派かな、とつぶやいた楓花はどこかつまらなそうだった。