ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
『強いて言うなら…最終的に呼吸器に問題が起きるかどうかに左右されます』
『呼吸器…、そこにも影響が出るんですか』
『呼吸器感染症にかかりやすくなって、肺炎や呼吸不全を起こしやすくなるんです。
いわゆる───合併症(がっぺいしょう)と呼ばれるものです』
がっぺいしょう…、
それは、ひとつの疾患が原因となったことで発症する別の病気ということ。
『そのときの状況にもよりますが、SMAを患った方がもしそれらの病気に感染してしまった場合……一気に生存率は下がります』
目の前の医者から出る言葉は、なんて優しくないんだろうと思った。
当然のこと俺は理解なんかできない、できてない。
『千隼は…、千隼は小さい頃に肺炎と急性気管支炎にかかっているんです、
生まれつき呼吸器が弱いと…そのときの主治医には言われていました…、』
そんなの知らなかった。
俺が幼すぎたからか、それとも両親の優しさのようなもので隠されてきたのか。
だとしても結局こうして最悪なタイミングで知らされたんだから、意味がない。
どうやら俺は身体が動かせなくなったあと、最後は呼吸器に異常が起こって死んでいくらしい。