ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




それはつっぱるような、足にあるバネが伸びきったまま曲がらなくなる感覚。

そのまま俺の身体は人のいない住宅街にて転倒した。



『……うごけ…、なんで転けてんだよ…、』



なんで、なんでなんで、なんで俺なの。


俺が何かした?

こんな運命を受けるべき存在は、世の中に山ほどいるはずだ。


罪を犯した人間の大半は刑務所で定められた期間を過ごせば、またそれなりに生きることができるなんて。


そんなのおかしいだろ。

そいつらに受けさせればいい、そいつらに背負わせればいい。



『…ふざけ…んな……、っ…、ふざけんなよ…っ!!』



ぎゅっと握りしめたこぶしで地面を叩くと、じんじん痛みを感じる。


俺はいつか、こんなことすらできなくなるんだ。


いずれ自分の身体を思うように動かせないときが訪れて、最終的にはベッドで寝たきりだと。

自分の排泄さえも自分でできなくなる。


そんなの……死んだほうがマシだ。



『ねぇお兄さん何してるの?ひとり?良かったら遊ばない?』


『……遊ぶ、って?』


『ウチすぐそこだから良かったら来ない?ちょうどコンビニ行こうと思っててさ、
そしたらめちゃくちゃ格好いい子がいるから声かけてみちゃった!』



< 123 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop