ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
涙は、出ないんだと。
人は本当に苦しくてつらいことを目の前にしたとき、まず涙は出ないものだということを知った。
そんなことをしていられる余裕がない。
脳がまず、フリーズする。
「だ、だって千隼くん…ラッキーセブンって…、」
あのとき、目が合ってたよね。
千隼くんは私が7番を引いたことに懸けてくれていたんじゃないの…?
「まさか青石さんだとは思わなかった」
「……葛西さんが、よかったの…?」
「…うん」
ゆっくり、ゆっくりと、私の視線は脱帽するように地面へ下がっていく。
「葛西さん…かぁ……」
えへへっと、渇いた笑い声まで飛び出してしまった。
「お似合いすぎる……、そうだよね、納得できる、」
じゃあずっと我慢させてたってこと…?
葛西さんに懸けていたけど私だったから、仕方なく今まで付き合ってくれて。
「わ、私のことは…好きじゃ、なかった…?」
「…面白い人だなとは思ったけど」
「す、好きでは…ない…?」
「…わかんない」