ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
結局ほんとうに3人でカラオケに来ちゃった…。
なんなの、私に気をつかっているの…?
慰めようとしてくれているの…?
北條くんなんかさっきは大笑いしてきたくせに。
「言い出しっぺはあんたなんだから当たり前でしょ?あんなに李衣のことバカにもしたんだからっ」
「あーあー、わかったよ」
なんにも分かんない…。
意味不明、理解不能、強制的にマイクを持たせられてる。
でも2人がここまでしてくれているのだから、確かに歌えば一瞬でも気持ちは紛れるような気がした。
「わっ、楓花…?」
のはずが、無心に操作していたタッチパネルがひょいっと奪われる。
「え、北條くん…?」
リモコンを手に取ったかと思えば、そもそもテレビ自体を消されてしまった。
そして私の手に再びマイクのみを握らせられると───
「……ぶはっ、演説!!ぎゃはははっ!!」
お腹を抱えるくらい豪快に吹き出した北條くんに対し、すぐにぎょっと反応したのは楓花だった。
「北條っ!!作戦が違うでしょ…!?」
「いや無理だって…!笑うだろこんなの!!」
「はあ…、こんなことしたって李衣が可哀想なだけよ」