ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




じゃああれは浅倉くんが何かを隠すための嘘だったの?って、そう思うことはさすがに都合が良すぎる気もした。



『葛西さんがいいって言ってんじゃん』



だめだ、思い出すだけで視界が揺れる。

あんなの言われたらどうにもできないよ…。そうだねって納得するしかない。



「おい青石。俺がバスケ始めた理由、ぜってー当たんねえから当ててみ」



また溢れ出しそうになった涙を止めたのは、北條くんから投げかけられた言葉だった。


どうして今そんなことを当てなきゃいけないんだろう…。

やっぱりこの人は空気が読めないんだ。


けれど北條くんは「早く」と急かしてくるから、とりあえず浮かんだものを適当に出してみる。



「バスケットボール選手に憧れて…とか」


「ちげえ」


「…女の子にモテたかったから、とか」


「んなことしなくてもモテるんだわ俺。わりーな」


「………」



この人と話したくない…と、シンプルに思った。


たしか北條くんは小学生の頃から習っていると教えてくれたことがあった。

当時は野球クラブやサッカークラブが多かったなかで、唯一バスケットボールクラブだったって。



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